閑谷学校【国宝・世界ではじめての誰でも学べる学校】

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「備前焼」で有名な岡山県備前市。和の趣たっぷりの備前での観光に外せないスポットは「閑谷学校」です。単なる昔の学校と思うことなかれ。閑谷学校はなんと国宝。日本遺産認定第一号にして、現存する世界最古の庶民のための公立学校という、意外にもすごいスポットなのです。1670年に岡山藩主の池田光政が創建した日本ではじめての庶民のための学校が、閑谷学校のはじまりです。そんな歴史と熱意が込められた学び舎は、その建物の立派さからもひしひしと感じることができます。

外観も美しい!沖縄を思わせるような閑谷学校

閑谷学校は山の中にあるのでマイカーが便利。広い駐車場があり、そこから眺める景色がかなりすごいです。おおよそ学校というイメージからかけ離れた、歴史あるお寺のようで、その風景も素晴らしいのです。なお、水路のように見える細長い池にはコイが泳いでいて、エサやりをすることができます。

閑谷学校の正門へと続く道がとても気持ちよく、今から勉強するのに気が引き締まる厳格さも漂います。
閑谷学校は1670年に岡山藩によって創立された学校。まだ厳格なな身分制度がある江戸時代前期に農民も学べたという、世界最古の庶民のための学校です。江戸時代のころにもこの道を歩いて大勢の子供が学びに来ていたと思うと歴史ロマンを感じます。

閑谷学校は石垣に囲まれ、備前焼の赤い屋根瓦を葺かれています。その雰囲気はとても沖縄っぽく、岡山県の歴史ある史跡とはにわかに思えない佇まいです。

きれいに目が整った石垣はとても美しく見事です。土の道と相まって、どことなく沖縄の竹富島を彷彿とさせる風景です。

まるで沖縄のグスクを思わせる立派な校門は見ごたえがあります。1686年建造の重要文化財です。現在は校門から閑谷学校の中には入れません。料金所が別にあるので、そこで入場料を払って中に入ります。

「閑谷学校」の創始者、岡山藩主の池田光政を祀る閑谷神社は重要文化財。学校を見下ろす少し高い場所に鎮座しています。その左隣には儒学の祖、孔子を称える「聖廟」があります。これも重要文化財です。

まるでお寺のような国宝の閑谷学校の講堂

広大な芝生広場の中に建つ「講堂」
閑谷学校を代表する建物で、なんと国宝に指定されています。備前焼の赤瓦をのせたお寺のような独特の風貌と広い芝生が異国のような趣を感じられます。

講堂の内部。太い柱が広大な空間を作り出し、その中に部屋のようなスペースを設けている独特な構造。拭き漆の床は代々生徒により磨き込まれているそうで、まるで水面のように厳かな空間の鏡像を映し出し、とても神秘的です。否応なしに国宝の威厳を感じます。

講堂を一周する外周廊下を回って色んな角度で内部を眺められます。窓から入り込む光が床に反射して幻想的。ここで350年も前から多くの人が学んでいたのです。今は美しくも静かな空間ですが、かつてはとても熱気のある場所だったのでしょう。

講堂の傍ら、講堂内部を眺めるように造られたのが「小斎」(重要文化財)
藩主が訪れた際、この建物に滞在し、勉学の進み具合を見学したそうです。どれだけ岡山藩が力を入れていたかわかります。

講堂の外周を取り囲む廊下はまるでお寺。歴史を感じます。

趣ある渡り廊下で講堂から離れへ渡れます。

離れにも建物があり、これらも歴史があります。まず、囲炉裏があり、高い天井の「飲室」(重要文化財)
少し落ち着いた雰囲気野子の部屋は、先生や生徒がお茶を飲んで休息した場所だそうです。

講堂に隣接する離れのひとつ「習芸斎」(重要文化財)
ここは農民が学んだ教室だそうです。流石に身分制土が厳しかった江戸時代、武士と席を同じにしては農民は学べなかったようですが、それでも藩が農民に直接学問を教える施設があったということは、やはりすごいです。

再び講堂に戻ります。外周の廊下が場所によっては重厚な雨戸が閉められています。開放的な部分とは違い、秘密の通路みたいで、また違う趣があります。

先ほど渡り廊下から訪れた「飲室」と「習芸斎」を外より眺めます。一番右側の小さな建物が藩主詰所の「小斎」です。いずれも重要文化財。外観も立派で見事です。

小斎の横にある小さいながらも立派な門が「公門」(重要文化財)です。藩主が来校した際に使用する門です。重厚で美しい石垣の間に建つ立派な門は相当な威厳。お殿様専用門というのも納得です。

美しい石垣の道を進んで明治時代の資料館へ

芝生の中に建つ真っ白な蔵は「文庫」(重要文化財)
閑谷学校の教科書や参考書などが収められています。漆喰塗りの重厚な壁に多重の扉が設けられた堅牢な構え。中には貴重な書物が八千点も所蔵されているそうです。その背後に盛り上がった芝生の山が「火除山」
この奥に学舎や寄宿舎があり、万が一の出火の際に、火が国宝の講堂までまわらないように造られた人工の小山だそうです。

火除山の横からは、沖縄のグスクを思わせるような石垣の通路が続いています。この石壁は300年前のもので、これも重要文化財。丸みを帯び滑らかな石垣の表面はとても美しく、異世界を歩いているかのようで素敵な場所です。この先には明治時代の洋館を利用した閑谷学校の資料館があります。時代は江戸から明治へと移ります。

石壁の通路を進むと、資料館に到着します。新緑のころも美しいですが、紅葉のころもさらにきれいな風景を楽しめそうです。

レトロな雰囲気を感じる明治時代の洋館

閑谷学校の資料館は、明治38年に建設された私立の閑谷中学校の本館。建物は有形文化財の指定されており、先ほどの和の趣の学び舎と変わってレトロな雰囲気を感じることができます。

資料館の内部は廊下や教室がそのままの形で残っています。江戸という時代が終わっても、ここで大勢の学生が学び、日本の近代化を支えていったのでしょう。レトロ感を満喫できる場所です。

教室は閑谷学校の歴史や残されている貴重な資料の展示室となっています。とても展示の数が多く、思っていた以上の見ごたえがあります。

世界最古の庶民のための公立学校であった閑谷学校。明治維新の際に一時的に私立になりますが、その後は公立となり、昭和39年の廃校まで300年にわたり学問を学べる学校でした。その長い歴史と多くの重要文化財を擁する建物群、そして芝生と石垣の美しい風景。想像以上の見ごたえに必ず満足できるスポットです。

閑谷学校

場所: 岡山県備前市閑谷784
電話: 0869-67-1436
料金: 大人400円、小中学生100円
営業時間: 9:00~17:00
休み: 12月29日~31日
交通: 山陽自動車道備前インターより 約15分
   山陽自動車道和気インターより 約5分
駐車場:500台(無料)

【投稿時最終訪問 2017年5月】

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