子規記念博物館【正岡子規と道後温泉】

最終更新日

Comments: 0

「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」の俳句で有名な正岡子規。正岡子規が生まれ育ったのは愛媛県・松山市だ。
子規は現在の松山市の中心、松山市駅付近に下級武士の子として生まれる。日露戦争で軍人として活躍した秋山兄弟の弟、秋山真之と共に勉学を重ね、東大予備門に入学。夏目漱石や南方熊楠といった文化人と同窓となっている。
その後俳句の革新について活動をはじめ、所属する新聞社の日清戦争従軍記者を務めるが、その帰国の際に喀血。松山に帰郷し、夏目漱石と同居しながら養生する。その後、病床に伏しながらも活動を続け、高浜虚子、河東碧梧桐ら後進の育成にも力を注ぐも35歳にて短い生涯を終える。日本の近代文学に大きな影響を及ぼした他、野球をこよなく愛し、広く日本に広げた人物である。
日露戦争の功労者となった軍人・秋山兄弟とは同郷の友人であり、その活躍は司馬遼太郎の「坂の上の雲」で描かれている。また松山を舞台にした小説「坊っちゃん」を書いた夏目漱石とは一時期、松山で同居生活をしていた。
松山では「俳句ポスト」があり、毎年「俳句甲子園」が行われる俳句が盛んな街。まさに正岡子規は松山を代表する歴史的な人物といえる。

正岡子規の足跡をたどるミュージアム

さて、そんな松山を代表する偉人、正岡子規の足跡を学べるのが、「子規記念博物館」。道後温泉にある松山市立の施設だ。
施設では子規の生い立ちだけでなく、子規が生まれた頃の維新の中の松山の様子、そして道後温泉の歴史や子規直筆の作品。映像資料などの展示がある。正岡子規という人物だけでなく、彼が生きた時代が良くわかる。
ちなみに展示室は2階・3階になっている。2階から3階への移動は階段のみになっているが、係員に声をかければ、エレベーターに係員専用通路から案内してくれる。車いす、ベビーカーでのバリアフリーも一応は整っている。ただし、トイレには幼児用おむつ替えの設備はない。

夏目漱石と正岡子規が同居した愚陀仏庵

3階には、正岡子規と夏目漱石が一時同居した「愚陀仏庵」の一部が復元されている。実は「愚陀仏庵」は松山城の麓に完全に復元されていたのだが、平成22年、大雨による土砂崩れで残念ながら崩壊してしまった。
愚陀仏庵を再度復元しようとする運動が始まっているが、まだその目処は付いていないそのため、今のところ、愚陀仏庵を見れるのは、この子規記念館だけである。
博物館なので写真は禁止だが、この愚陀仏庵のコーナーだけは撮影可能。そして、実際に中に入る事が出来る。
1階に子規が住まい、2階に漱石。この1階で何度も俳句会が開かれており、漱石はこの松山への教師としての赴任の経験を元に有名な小説「坊ちゃん」を書き上げた。当時の文化人が切磋琢磨した場所が復元でありながら、それと同じ空間に身を置けるのは何とも感慨深い。

松山の歴史を感じられる隣接する道後公園

子規記念博物館は「道後公園」の一角に位置する。緑豊かな公園は、以前は「湯築城」があった場所。気持ちの良い季節なら、散策をするのも楽しい。

道後公園の中にある「湯釜薬師」
「湯釜」とは温泉の湧出口に設置するもので、道後温泉の独特の湯釜はそのシンボルのひとつ。この湯釜は奈良時代に造られたものとされ、現在の道後温泉本館ができた明治27年まで使用されていたもの。県の有形文化財として、大切に祭られている。
1000年以上使われた湯釜は、日本最古の温泉の道後温泉の歴史を感じさせてくれる。子規記念博物館からすぐの所にあるので、せっかくなら道後温泉の長い歴史が詰まった湯釜も見ておきたい。
一時期、正岡子規と同居した夏目漱石が、松山を舞台にした小説「坊っちゃん」で主人公を道後温泉に入浴させている(坊っちゃん泳ぐべからず)
恐らく正岡子規も夏目漱石と共に道後温泉の湯を楽しんだことだろう。偉人が浸かった歴史ある湯はやはりロマンに溢れている。

松山・道後温泉の宿泊情報

「いで湯と文学の町」と称する松山の宿泊は、やはり四国随一の温泉街である「道後温泉」に宿泊したいですね。子規記念博物館や道後温泉からも近く、道後温泉本館をはじめとする外湯めぐりやお遍路の起源にまつわる寺ともいわれる石手寺などの見どころもたくさんあります。宿の数もかなりたくさんあるので、宿泊する楽しみもいっぱいです。日本最古の温泉である道後温泉には老舗旅館も多数。正岡子規やその門人たちが宿泊した老舗旅館に泊れば、歴史を感じられる滞在になるでしょう。

子規記念博物館

住所: 愛媛県松山市道後公園1-30
電話: 089-931-5566
営業時間: 11~4月/9:00~17:00 5~10月/9:00~18:0 (入館受付は閉館30分前まで)
休業日: 月曜日・祝日の翌日(祝日の場合はその翌日)
交通: 伊予鉄道市内電車「道後温泉駅」より徒歩5分(路面電車)
   松山自動車道・松山ICより約20分
料金: 400円(高校生以下無料)
駐車場: 23台(30分100円)

【投稿時最終訪問 2010年11月】

シェアする