大野ヶ原【四国カルスト穴場の絶景】

四国と高知にまたがり、まるでラピュタのような天空に浮かぶカルスト台地である「四国カルスト」。メイン地区の天狗原から姫鶴平にかけては牛が草をはみ、風車が天にそびえ、どこまでも白い石を浮かべた草原が空の中に広がる素敵な世界だ。休日となるとマイカーやバイクが多くこの天空の世界に登ってきて、場所によっては渋滞が発生する。そんな四国カルストの中にありながら比較的静かな場所が「大野ヶ原」だ。天狗腹などは観光施設や牧場しかない四国カルストの風景だっだが、大野ヶ原は人が住む四国カルストで、四国にありながらまるで北海道のような風景を思わせるの美しい風景が楽しめる。そして何より、訪れる人が比較的少ない、四国カルスト観光の穴場でもある。

天狗高原・姫鶴平まで来たなら大野ヶ原へも足を伸ばしたい

四国カルストからの大野ヶ原のアクセスは、四国カルストの入口、国道440号線の地芳峠から少し愛媛県側に下ったところにある分帰路で県道383号線へ入る。看板も出ているので、見落とさないように注意したい。
ここからも1~1.5車線の細い道が続く。樹林帯の中を行くので見通しの悪いブラインドカーブの連続だ。先ほどの姫鶴平や天狗高原方面へ向かう道と違い、こちらは知名度がいまひとつなので、車の量はまだ少ない。所々、牧場が開けていたり、山の眺めの気持ちいい風景があるので、路肩に車を停めて楽しむのも良い。

大野ヶ原の主峰「源氏ヶ駄馬」からの眺めは絶景!!

しばらく進むと、急に目の前の風景が明るく開ける。大野ヶ原に到着である。それと同時に、左手へ分岐する道が出てくるので、まずはここを左折しよう。向かう先は「源氏ヶ駄馬」。標高1402mで、大野ヶ原の主峰。その中腹には駐車場がある。駐車場手前から、源氏ケ駄馬頂上直下までも車道が続いているが道は極端に狭く、切り返しをしないと曲がれないカーブもあり離合もできない。小さな車で運転に自信が無ければ進入しない方がよい。

駐車場から遊歩道があり、ここからも20分ほどで源氏ヶ駄馬の頂上に登れる。頂上には弘法大師を奉った祠とお地蔵さんがあり、360度のパノラマを楽しめる。源氏ケ駄馬からは牧歌的な大野ヶ原の町並みを展望できる。大野ヶ原は戦時は軍馬の放牧地だった。戦後は昭和25年から開拓がはじまり、今は広大な牧場地が広がっている。四国のど真ん中、標高1000mを越える山の中に、こんな風景があるのはびっくりだ。

大野ヶ原の東方向を望む。山々はどんどん稜線の標高をここから下げて行き、やがて海に沈む。ここは愛媛県西予市の西端。同市の東端は美しい海に面している。まさにここは、雲上の別天地。

牧草地を左右に切り裂いて走る道路。ここは僕の四国の中でも大好きな風景のひとつ。四国とは思えない、牧歌的な風景がとても気持ちいい。

大野ヶ原の牧場は、源氏ヶ駄馬一面とその裾野まで広がっている。山一面の緑眩しい牧草地。はるか向こうに小さな置物のように見えるホルスタインが、のんびりと草を食んでいる。このスケールの大きさは、北海道や信州の牧場にも匹敵するほど。

この風景はまるで四国の深い山の上に、北海道の景色が切り取られて貼り付けられたみたいである。とにかく、この風景は、「四国で見れる北海道」であり、僕は大好きなのだ。大野ヶ原の町の標高は1000mを越え、温暖な愛媛県にありながら、豪雪に見舞われる場所だ。それゆえ北海道の風景に類似するところは多いのだろう。

駐車場から見上げる源氏ヶ駄馬。一面に草原が広がる中を軽い登山を楽しめる。斜面を直登するので登りはややきついが、その斜面を走る風が気持ちいい道でもある。

牧場が広がる四国の北海道で楽しむスイーツや観光

先ほど源氏ヶ駄馬へ行くために左折した道まで戻り、直進。行き止まりをさらに左折すると、大野ヶ原の町の中にたどり着く。牧草地に囲まれ、サイロなどの建物が点在する風景は、何度も言うが北海道や信州によく似ている。遠い大地をドライブしているような気にしてくれる風景だ。

車を走らせているとモミの木に囲まれた真っ白な建物が目に付く。まるで軽井沢や八ヶ岳のような高原リゾートを思わせる風景。ここは『ペンションもみの木』。宿泊は現在できないが、美味しいスイーツが楽しめるとドライブやツーリング客が多く立ち寄る場所だ。

ペンションもみの木の中には土産屋とカフェがある。ウッディな雰囲気ながら、ちょっと一昔前のつくりの建物には、どこか懐かしささえも覚える。本当に信州のどこかにある、お店に入ったようだ。

カフェでは大野ヶ原の牧場でとれた牛乳をふんだんに使った製品が楽しめる。牛乳、濃厚なアイスクリームやチーズケーキ。今回はアイスクリームを頂いた。1つ250円。確かに、北海道で食べる、あの牛乳の濃厚な味を感じさせてくれる一品。その辺りで食べるアイスとは違い、とってもおいしかった。
この「ペンションもみの木」のチーズケーキは美味しいと人気。大野ヶ原の看板スイーツとして知られている。外はこんがりと焼かれていながらも、中は融けるようなトロトロの食感でチーズの濃厚な味わいが絶品。ひとつひとつ手作りのため数量限定。休日には早々に売り切れるので、できれば早めの時間に訪れたい。

「もみの木」の横には、ポニー牧場がある。ヤギやウサギなどの動物とふれあえる場所で、子供連れには最高の場所だ。牧場内に入るには、100円をポストに入れて入場する。

牧草地が広がり、サイロや木造の小屋が立ち並ぶ風景はまるで北海道を思わせる風景だ。大野ヶ原は標高1000mを越えた豪雪地帯で、愛媛県でも指折りの冬の厳しさがある。早い時期からストーブが焚かれ、防寒対策の施設や道具があちらこちらで見られる。暖かい愛媛にあって異様なる地、それゆえに異様なる風景が存在する地でもある。

大野ヶ原の町の中から見上げる源氏ケ駄馬。先ほどはあの上の牧草地まで車で駆け上がり、ここを見下ろしていたのだ。民家の裏手には広大な牧草地が広がる風景は、四国ではまずここ以外に見たことはない。

町の中心には「竜王神社」が鎮座する。深い山の中にあるのに、漁業や船や海運の神様を祭っている神社だ。神社といえば、大概はその周辺は深い鎮守の森に囲まれているものだ。それだけに、緑眩しい牧草地に囲まれた、開放的な神社の風景はとても珍しい。神社の境内の裏には、カルスト独特のすり鉢状の窪地にできた「小松ヶ池」があり、龍が潜むという伝説が残る。ドリーネが池になっているのは、世界的に見ても稀だという。

大野ヶ原へのアクセス

天狗高原・姫鶴平といった四国カルストの人気エリアを一緒に見るなら「地芳峠」から県道383号線を走行します。少し細い道ですが、カルスト台地と森の中を走る風景が素敵なドライブを楽しめます。どうしても細い道の運転は苦手!という方にオススメのルートは国道197号線からのアクセス。
国道197号線は愛媛県宇和島市と高知県須崎市を結ぶ走りやすい国道です。どちらも高速道路のインターがあるのでアクセスも容易。愛媛と高知の県境にある「高研山トンネル」の愛媛側に入口がある「緑資源幹線林道 日吉・松野線」での大野ヶ原へのアクセスがオススメ。大きな看板と電光掲示板が目印です。地図には小さく乗っている道ですが、実は全線2車線で離合の心配のない道路です。県道でアクセスするより大回りになりますが、すれ違いが心配だったり大型の車ならこのルートがベストです。

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