武蔵御嶽神社【御岳山ケーブルカー】

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東京都内でも豊かな自然が残る奥多摩。多くの山々が連なり、深い渓谷がいくつも流れる場所は登山や川遊びなどのアウトドアスポットでもあります。そんな高い山々の1つ、標高929mの御岳山の山頂に鎮座する「武蔵御岳山神社」は古くから山岳信仰で多くの参拝者を集めました。今はケーブルカーが通じており、登山装備がなくても美しい自然と絶景の展望、そして神々しい神社と歴史ある門前町をめぐることができます。

御岳ケーブルカーで一気に山上へアクセス

御岳神社へのアクセスは御岳山ケーブルカーが便利。JR青海線御嶽駅からバスでのアクセスになります。紅葉の時期はとてもバスは混雑し、接続も悪くなります。ケーブルカーまで3km、標高差も180mほどなのでバス道を歩くのも手です。登山者なら40分ほどで到達できるでしょう。

御岳神社参拝だけでなく、今回はその先への登山も楽しむために始発に乗りました。始発でも参拝や登山者で行列ができています。

御岳ケーブルは標高407mの滝本駅から831mの御岳山駅まで、標高差424m、距離1,107mを6分で登ります。1935年開業の歴史あるケーブルカーで、関東一の平均勾配22度を誇ります。

ケーブルカーは神社の神木になるような大木が林立する神秘的な杉林の中を登ります。車窓からの眺めを楽しんでいると、あっという間にケーブルカー山頂の御岳山駅に到着します。

駅前には土産屋や飲食店がある御岳平があります。ここから展望台までリフトも通じています。

御岳平にはテーブルベンチや藤棚もあり、参拝や登山の前後にひと休憩できます。埼玉方面を一望でき、天気が良ければ奥に筑波山も望めます。景色を眺めながらの売店のテイクアウトは格別です。

始発のケーブルだと御岳平でとても気持ち良い朝日を浴びることができます。朝日に照らされた色づき始めた紅葉がとても美しく輝きます。

御岳山ケーブルカー

住所: 東京都青梅市御岳2-483
電話: 0428-78-8121
料金: 大人/片道600円・往復1130円 子供/片道300円・往復570円
期間: 通年
休み: 無休
時間: 7:30~18:30
運行: 15分~30分間隔
交通: JR中央線・御嶽駅よりバスで約10分
    圏央道・日の出ICより約30分
駐車場: 136台(最大料金1500円)

山上に広がる天空の集落を抜ける参道

御岳平で大展望を楽しんだら御嶽神社に向けて出発です。御岳山駅から頂上の武蔵御嶽神社まで徒歩約25分です。訪れたのは10月下旬でしたが、紅葉が始まっています。

谷の向こうには旅館や宿坊が建ち並ぶ御師集落が見えます。まるで山間にある秘境のようで、昔話に出てきそうなとても神秘的な風景に思えます。

御岳ビジターセンターを通り抜けるとそこは旅館やお店が建ち並ぶ御師集落。昔ながらの建物が多く、日本の美を感じる町並みで、特に目を引かれるのが有形文化座の「馬場家御師住宅」です。迫力のある重厚な茅葺きの建物は150年前の幕末に建てられたもの。かつての御嶽神社の神職の屋敷で、険しい山を登ってきた参拝者をもてなす宿泊施設でした。現在は茶屋として営業しており、日本の美しさを感じる空間で山菜料理やさしみこんにゃくなど、日本の美味しさを堪能することができます。

御師集落の中の道を進みます。細い坂道が迷路のように入り組んだ集落内はとても不思議な趣。古から続く天空の宗教都市といえる雰囲気を存分に感じられます。

御師集落を抜けて角を曲がると、そこには土産屋や食堂が建ち並ぶレトロな町屋通り。昭和の香りが漂うとても味のある門前町です。

門前町を抜けると参道入口の大鳥居があります。ここから御岳神社の神域。階段を登って境内を目指します。

鳥居をくぐると寺の山門のような随身門があります。門の左右には刀や弓を持った随身(警護の官人)の守護神像が安置されています。この門から振り返る景色が天空の神社を思わせる素晴らしい眺めです。

門をくぐると待っているのは長い階段。本殿までの300段の道のりは霧の御坂と呼ばれる急坂。途中に何か所かベンチがあるのでゆっくり登っていきましょう。

頂上に鎮座する美しく神々しい武蔵御岳神社

長い階段を登ると、その先には青い空と色鮮やかな朱色の社殿が見えます。ついに標高929mの御岳山山頂に建つ武蔵御岳神社の本社に到着です。武蔵御岳神社は736年に行基がこの地に蔵王権現を祀るお堂を立建てたことがはじまりです。

本殿の前を固める巨大な狛犬ですが、武蔵御嶽神社では犬ではなく狼になっています。日本武尊が東征の際、御岳山で道に迷った際に白狼が道案内したという日本神話に基づいています。

本殿への階段の途中にある色鮮やかで重厚な建物である「宝物殿」。目玉は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で中川大志さんが演じた鎌倉幕府の重鎮・畠山重忠が1191年に奉納した、日本三大鎧に数えられる「赤糸威大鎧」(あかいどおどしのおおよろい)です。日本最古の鎧とされ、国宝に指定されています。その他にも貴重な武具が多数所蔵されています。まさに天空の宝物殿です。宝物殿を守るように乗馬する武士像は畠山重忠です。

頂上に建つ本殿は太陽の光に照らされて神々しく輝いています。五間社入母屋造の朱塗りの社殿はこんな山上にあるとは思えないくらい巨大で、それでいて美しく鮮やかに彩られた見事な彫刻が施されています。

現在の本殿は明治10年に建造されたそうです。重機もない時代にこんな山の上に立派で大きな神社を建てたことにも驚きですが、150年近く前の建物が、こんなに厳しい環境の中で今も美しく色彩を放っていることには感動すら覚えます。

色鮮やかな朱色と金に輝く金具と鈴。極楽色の美しい彫刻を纏う本殿はとても神々しく、雲上の空に近い場所にあることもあり神の存在を感じてしまいます。知らず知らずのうちに深く手を合わせて参拝してしまう、そんな場所です。

武蔵御嶽神社には蔵王権現が祀られており、盗難・魔除け、豊作の神として広く信仰を集めています。

御岳山の頂上である本殿前から振り返ると、眼下に広がる広大な眺め。遠く都心方面を一望できる大展望です。天気が良いとスカイツリーまで見えるそうです。

たくさんの境内社と神話の神々が鎮座する武蔵御嶽神社

本殿脇には社務所とさらに奥に進む道があります。

本殿脇に鎮座する二柱社。日本を造ったとされる弉諾尊と伊弉冉尊を祭っています。その隣には春日社、八幡社、䗝養社、八雲社、座摩社、月乃社、国造社、八神社を祭る八柱社があります。神棚のような神殿はとても厳かで、参拝してからさらに奥に進みます。

本殿の背後には、伊勢神宮を総本社とし天照大神を祀る「神明社」があります。小さな社殿ですが、その格式はかなり高い境内社です。

御嶽神社の眷属である狼を祀る大口真神社。その奥には奥宮遥拝所があります。日本武尊を道案内した白狼がこの地にとどまり、災いから守護する役目を引き受けて大口真神になったといわれています。

境内の最も奥にある奥宮遥拝所。ここからは離れた山の上にある御嶽神社の奥宮を遥拝することができます。奥宮の祭神である日本武尊とその命を受けてこの地の守護神となった大口真神社の白狼がその前に守護するように鎮座しているかのようです。

日本武尊を祭る「男具那社」がある奥宮は美しい円錐形の峰の頂に鎮座しています。奥宮には登山道を歩いて本社より約40分。機会があればぜひ参拝したい神々しい山の頂です。

武蔵御嶽神社

場所: 東京都青梅市御岳山176
電話: 0428-78-8500
営業時間: 8:30~16:00
休業日: 無休
料金: 無料
交通: 御岳登山鉄道ケーブルカー御岳山駅から徒歩約25分
駐車場: 136台 (ケーブル駐車場 上限1日1500円)

【投稿時最終訪問 2020年10月】

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