萬翠荘 【松山城と一緒に見たい歴史ある洋館】

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愛媛県の県庁所在地、松山市のど真ん中には山の上に江戸時代の天守閣を今も残す松山城がそびえる。市内どこからでも見える城の山麓に、大正時代につくられた鉄筋コンクリート造りのレトロな洋館が「萬翠荘」だ。

松山城山麓にある歴史ある立派な洋館

深い森に包まれた洋館。人里離れた山の中の佇まいを思わせるが、この洋館があるのは中核都市の中心部である。
「萬翠荘」は大正11年に建築された愛媛県で最も古い鉄筋コンクリート造りのフランス風ま洋館。地下1階、地上3階の造りで、愛媛県の指定有形文化財に指定されている歴史ある建物だ。
相当深い森にあるように思えるが、この建物のすぐ前は、県庁や市役所、裁判所などの公官庁が立ち並び、往来の多い商店街もある松山でも最もにぎやかな場所のひとつ。松山は「松山城」を中心として発展した城下町で、小高い山の上に建っている。現在も江戸時代以前の天守閣を残す松山城は、ほぼ当時の姿のまま残っており、城を取り囲む緑もそのままだ。
山を取り囲むように、松山の市街地は構成されている。その城山の麓にこの萬翠荘があるので、市街地にも関わらず、静かで深い緑に包まれて静かな佇まいを保っている。
この写真の萬翠荘は同日に訪れた「坂の上の雲ミュージアム」から眺めたもの。NHK3年に渡りで放映した司馬遼太郎氏原作「坂の上の雲」はこの松山城の城下町で育った秋山好古、秋山真之の兄弟と、正岡子規の3人を主人公にしたドラマ。この萬翠荘もドラマの主人公になじみのある場所になっている。

司馬遼太郎氏の松山出身の3人を主人公にした歴史小説・坂の上の雲の博物館である「坂の上の雲ミュージアム」から少しだけ坂を登る。松山城を護るかの様に豊かに生い茂る緑が、ここが市街地のど真ん中であることすら忘れさせてくれる。5分もしないうちに「萬翠荘」にたどり着いた。重厚なレトロな雰囲気を存分に醸し出す、立派な建物だ。
萬翠荘は、旧松山藩主の子孫にあたる久松定謨氏が別邸として建設したもの。当時は最高の社交場として賑わっていたそうだ。また、久松定謨がフランス陸軍に留学する際、補導役として坂の上の雲の主人公のひとり、秋山好古が同行している。この時に好古もフランスで騎兵戦術を学んでおり、「日本騎兵の父」と称される活躍の基になったとされている。
また、萬翠荘の裏手には「愚陀仏庵」という建物がある。この建物は、坂の上の雲のもう一人の主人公、正岡子規が、友人であり松山に教師として赴任してきた夏目漱石と共同生活を行った建物を正確に再建したもの。「坂の上の雲」が大好きな方や知っている方なら、この付近の見どころはとにかく満載である。
※残念ながら愚陀仏庵は2010年7月に集中豪雨で倒壊しました。

当時の華やかな上流階級の社交場の萬翠荘

萬翠荘に入ると、立派な階段がある重厚なロビーが待ち構えている。2階には、昭和天皇が皇太子時代に宿泊した部屋などがあるそうだ。残念ながら、訪問時にはイベントの開催があり、2階へ上がれなかったた。そのため、1階のみを楽しませていただくことにした。
ちなみに萬翠荘では、一般人も申し込めば、内部の部屋での展示会や販売会、イベントやミニコンサートなども開催できるそうだ。

1階の「第8展示室」となっている部屋。白を基調とした重厚な装飾がとても美しい。床一面に敷き詰めたカーペットに社交場としての華やかな雰囲気をとても感じる。壁には暖炉もあり、雰囲気も最高。広さも71平米もある部屋で、とても広い。

「第9展示室」(64㎡)
先ほどの「第8展示室」の横にある部屋で、先ほどと違って黒を基調にした作りになっている。豪華なシャンデリアと床一面のカーペット、暖炉。こちらはとても落ち着いた雰囲気。こういう立派な建物が、別邸として社交場になっていたのは、とにかく贅沢だ。当時の華族の立派な暮らしぶりを目の当たりにして、溜息が洩れるばかりだった。萬翠荘の建築にあたっては、フランス生活が長かった 久松定謨 のこだわりが強く、設計者も建築のために数か月ヨーロッパを周遊して建築技術や様式を学び、調度品なども最高級品をそろえたため、当時の西欧人も驚くほどの完成度だったそうだ。
松山の歴史と、松山が生んだ歴史上の人物の足跡を聞こえる、現在の都会の雑踏から隔離された別次元の空間だった。

松山の観光と宿泊情報

松山の宿泊といえばやはり道後温泉ですね。四国を代表する温泉街で、老舗からモダンな旅館まで多くの宿があり、歴史ある温泉風情を楽しめます。また、松山にはシティホテルが多くあります。中には温泉を引いている場所もいくつかあります。予算や目的によって豊富な宿が選択できる松山の宿泊は、愛媛の旅にはオススメです。

萬翠荘

場所: 愛媛県松山市一番町3-3-7
電話: 089-921-3711
休み: 月曜(祝日の場合は開館)
時間: 9:00~18:00
交通: JR松山駅から伊予鉄道道後温泉行きで9分、大街道電停下車、徒歩5分
松山自動車道・松山インターから車で約25分
駐車場: 有り(20台・無料)
料金: 大人300円、子供100円

【投稿時最終訪問 2009年11月】

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