塩屋海岸【国道2号線須磨浦ウォーキング】

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神戸市でも海の景色が美しいと人気の場所が、垂水区と須磨区の境に広がる「須磨浦」です。源平合戦・一の谷の古戦場であり、六甲山系が海に沈む場所で、山と海が近づいたわずかな場所に東西の大動脈である国道2号線、JR山陽本線、そして山陽電鉄が身を寄せるようにして走っています。そのため、国道2号線を走ると海の眺めがダイレクトに感じられる気持ちの良い区間で、ドライブはもちろん、サイクリングやランニングをしている人も多いのです。
今回はJR塩屋駅から山陽電鉄須磨浦公園駅までの国道2号線のウォーキングです。季節は一番オススメの3月。須磨浦の春の風物詩を楽しみながら、美しい海の風景の中を歩く心地よい時間を楽しめます。

ノスタルジックな街並みの塩屋から出発

スタートはJR塩屋駅。塩屋は風光明媚な風景を愛した外国人がかつて多く住んだ町。今も外国人が住む一角が残り、昭和を思わせる細い路地や坂道に歴史ある洋館が点在するノスタルジックな町です。数々の映画やドラマのロケも撮影されているので、2号線ウォーキング前に時間があれば、町の中を散策してみるのも楽しいですよ。

塩屋駅の南側の横断歩道で国道2号線の海側に渡ります。塩屋駅から国道2号線を須磨方向に向かうと、海の絶景を楽しみながら右側通行ができる歩道を歩けます。駅前で渡らなければ国道を横断できるところがなくなり、塩屋海岸に降りられなくなるので注意です。

海と線路が美しい塩屋から須磨への道

やがて国道はJR山陽本線を橋で跨ぎます。ここからJR山陽本線の中でも絶景車窓が楽しめる塩屋海岸となります。この2号線の橋は海と電車の写真が撮れる撮り鉄の絶好のスポット。珍しい電車が通るときには必ずここにカメラを持った人が集まっています。

JRと山陽電鉄の線路に挟まれた国道2号線からの風景は抜群。目の前には青い海、そして巨大な橋で繋がった淡路島。さらには山の手には、海に突き出るように六甲山系の鉢伏山が頭上にそびえます。歩いていて、とても気持ちの良い場所です。

漁船が行き交う須磨浦の春の風物詩

神戸市には須磨浦、塩屋、垂水、舞子に漁港があります。塩屋海岸の沖合に広がる須磨浦は、須磨浦漁港と塩屋漁港の漁場。特に春先には、名物のイカナゴ漁が盛んにおこなわれており、漁船が頻繁に行き来する長閑な風景が展開されます。

線路沿いに海を眺めながら歩いていていきます。季節を感じられる気持ち良いプロムナードです。

海に目をやると、海上に不思議な物体があります。これは海苔の収穫作業をする漁船。須磨浦では名物の「須磨海苔」が養殖されています。特殊な器具を着けた漁船が養殖の網の下に船ごと潜り込み、船上で直接網から海苔を摘んでいます。少しかすんでいますが、海の向こう側には関西国際空港が見えています。

淡路島方向からひっきりなしに漁船が沖合いを通りすぎていきます。3月の須磨浦ではイカナゴ漁が盛んに行われています。神戸市西部の沿岸、淡路島には「イカナゴのくぎ煮」という郷土料理があります。春先になると、海で獲れたイカナゴを各家庭で甘辛く煮る香りが町の中に漂います。最近は温暖化などで漁獲量がめっきり減り、高級食材と化してしまいましたが、海に響く漁船の音と鳴き始めた小鳥のさえずり、そして暖かい陽光は須磨浦に春を告げる風物詩なのです。

もちろん電車に乗っていても須磨浦の車窓は感動的で、旅情を満喫できます。山陽本線でも指折りの絶景区間なので、神戸から明石に向かうなら海側に座って、須磨を越えたら車窓にかじりつきましょう。

JR山陽本線は日本を東西に結ぶ大動脈。歩いているだけで何本もの電車とすれ違います。電車好きでなくても、海をバックに走る電車はとても絵になる風景に感じ、様々な種類の電車がやってくるのは楽しいものです。

絶叫することもある絶景の塩屋海岸

海沿いに線路が走っているため、塩屋海岸へ入れる場所は限られます。塩屋と須磨の中間、塩屋谷川放水路が海に流れ出す堤防付近にあります。線路沿いに階段があり、階段を降りると線路をくぐる細い通路があります。

線路をくぐると、線路とテトラポットに挟まれた塩屋海岸に出ます。開放的ながらも海や山の風景が見えない浜です。

さて、塩屋海岸というと、特殊な性癖を持った男性が開放感を楽しむビーチであるという情報があふれています。現在の日本、そんなことはないだろうと思っていたのですが、2回目の訪問にしてそれが事実であることをわが目で確認することになってしまいました。テトラポットが船からの視線を遮り、線路が道路からの視線を遮る。海のすぐ近くまで山が迫り、民家や建物が全くない。そんな開放的ながらも全く人の目が届かない場所のため、そのシチュエーションを楽しむ人がいるということでしょう。
とんでもないものを見てしまいましたが、3月の寒い時期の出現率は少なそうです。また、釣り人が突堤から糸を垂らしていることも多く、危険ということはありませんが、不幸ということは時々あるので、そういう状況を目の前にしても大丈夫な方だけ足を踏み入れるようにしましょう。

海岸には一面、テトラポットが並んでいます。かつては塩屋海岸という名にふさわしい砂浜でしたが、線路や道路を保護するために昭和の高度経済成長期にテトラポットで護岸されたそうです。

テトラポットは比較的歩きやすくなっていますので、海を眺めながらのテトラポット上の散策もできます。

目の前をイカナゴ漁の漁船が何隻も通りすぎていきます。この地域の多くの漁師は、年収の大半を3月のイカナゴ漁で稼ぐそうです。漁船のエンジン音が響く須磨浦は、春の訪れを告げる美しい光景です。

塩屋海岸を東に進むと、須磨海釣り公園に出ることができますが、水に濡れずに行くならテトラポットの上を歩くしかありません。比較的歩きやすいですが、危険な場所には変わりありません。

テトラポットの内側はまるで整備された磯遊び場のようになっています。小さな子供なら連れてくれば比較的安心して磯遊びが楽しめます。
・・・そう思って幼稚園児の娘を連れてきたのですが、「居た」ので即座に娘を抱き抱えて撤退しました。

列をつくるようにして須磨浦漁港に戻る漁船。海に浮かぶのは須磨海つり公園です。残念ながら台風で足場が崩壊し、現在は休業しており、再建の目処はたっておりません。またこの豊かな海で、多くの人が釣糸を垂らせるようになるればと思います。
このまま2号線に戻るかテトラポットの上を歩けば、須磨海つり公園に到着します。高いガードレールでしばらく2号線を横断できませんでしたが、海つり公園前の横断歩道で2号線を渡れます。ここが須磨浦公園の入口となっており、山陽電鉄の須磨浦公園駅もあります。
なお、須磨浦公園は神戸でも人気の桜の名所です。3月末の桜が開花した時期なら、是非お花見の時間をスケジュールに入れておきたいですね。

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