鞆の浦【映画やドラマのロケ地と歴史の舞台】

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広島県福山市の「鞆の浦」は古くから潮待ちの港として栄えた港町。船旅をする多くの人々や数多くの積み荷が行き交った港には、江戸時代の町屋や倉、そして江戸時代そのままの港が残っています。風光明媚な瀬戸内の海とレトロな街並みは多くのドラマや映画のロケ地となり、ジブリアニメの「崖の上のポニョ」の舞台のモチーフとなった場所です。また、坂本龍馬が乗った船が沈没した「いろは丸」事件の舞台でもあり、事後処理で龍馬が潜伏した屋敷が残るなど、歴史好きにもたまらない町です。

瀬戸内の美しさが濃縮された「仙酔島」

鞆の浦散策に便利でオススメの駐車場は「鞆町鍛冶駐車場」。現在は2階建ての立体駐車場になっており、鞆の浦では最大規模の駐車台数です。

昔懐かしのボンネットバスが鞆の浦を走ります。これはトモテツボンネットバスで、福山駅から鞆の浦を周遊する鞆鉄道の定期観光バスです。乗るのも楽しいですが、この鞆の浦の町並みの中で見かけると、タイムスリップしたかのような気分になれます。

海に浮かぶ帆船は「平成いろは丸」という、仙酔島と鞆の浦の間を運航する福山市営の渡船です。福山市営渡船場の2階にはカフェ「SHION」があり、壁一面の窓から鞆の浦と仙酔島の大パノラマを眺めながらお茶を頂けます。乗船しなくても、鞆の浦の散策の休憩にはこれ以上にない人気のお店です。

カフェの横は展望デッキとなっており、仙酔島が浮かぶ瀬戸内海の美しい風景を一望することが出来ます。仙酔島を眺めるベストスポットの一つです。

鞆の浦の沖に浮かぶ仙酔島ですが、どうしても目はその前にある弁天島に向けられてしまいます。小さな岩の島ですが、その上には1644年に建てられたとされる弁財天福寿堂があり、中国の水墨画を思わせるような神秘的な光景になっています。仙人も酔ってしまいそうなくらいの美しい島という名前の由来ですが、おそらく仙人もここでお酒を飲みながら、この絶景を楽しんでいたのかもしれません。

鞆の浦は「流星ワゴン」の舞台がそのもの

様々な作品の舞台になっている鞆の浦ですが、近年では重松清氏による人気小説が原作の「流星ワゴン」のロケ地。また、ハリウッド映画の「ウルヴァリン・SAMURAI」のロケも行われました。鞆の浦のいたるところで、人気ドラマ・映画に登場した場所を見ることが出来ます。

昭和13年建築のレトロな洋館が「しまなみ信用金庫鞆支店」
流星ワゴンで、香川照之演じるチュウさんが融資の件で大暴れした福山銀行のロケ地です。本物の銀行の支店でロケがされるというのはとても珍しく、地域をあげてドラマを応援したことが感じられます。

何度も劇中に登場した香川照之演じるチュウさんが経営していた会社、丸忠総業に設定された建物もしっかりとあります。

昔ながらの町屋で営業する、とても絵になるレトロなお店が「少昔懐雑貨けすくせ宇田」
チュウさんが一雄のために「黒ひげ危機一髪」を買いに走ったおもちゃ屋「おもちゃの真島」として劇中に登場しました。その時の看板が店頭に飾られており、ドラマを懐かしむ人が立ち寄っていきます。

日本にここだけしかない江戸時代そのま鞆の浦の海の風景

海のすぐ横に立派な日本家屋や蔵がいくつも軒を連ねる風景は鞆の浦そのもの。これだけ海辺の江戸時代の風景が残っている場所はやはり鞆の浦以外にはなかなかありません。

鞆の浦の港には「雁木」と呼ばれる階段状に造られた船着き場が大規模に残っています。これは、潮の満ち引きが大きい瀬戸内海でも、潮位に関係なく船の積み荷を揚げ降ろししやすいように造られた岸壁です。これだけの規模で雁木が残っているのは、全国でもここ鞆の浦だけだそうです。まさに鞆の浦らしいし風景だといえます。

歴史がありながらも少し寂れた雰囲気も漂わせるの鞆の浦。異国情緒と過去が入り交じる、濃厚なノスタルジックな雰囲気はドラマや映画の舞台そのものです。

鞆港西側の雁木の先には、鞆の浦のシンボルである「常夜燈」があります。高さが5mを超える巨大な石造りの灯篭で、江戸時代の1859年に建造されたそうです。海面から最上部までの高さは11mもあり、港の中の常夜燈としては日本最大のもので、かつては一晩中火が灯されて灯台としての役割を担っていました。

海の守り神に船旅の安全を祈願して建てられた常夜燈は見事で、鞆の浦の時代を感じる港町の風景をより一層過去の姿に留まらせてくれています。
江戸期の港の施設であった常夜燈をはじめ、雁木、波止場、焚場跡、船番所跡がほぼ完全な形で現存しているのは全国でもここ、鞆の浦だけだそうです。

坂本龍馬の「いろは丸事件」の舞台

常夜燈のすぐそばにはの蔵は「いろは丸展示館」となっています。ここ鞆の浦の沖で坂本龍馬が乗るいろは丸が、紀州藩の明光丸とこの鞆の浦沖で衝突し、沈没をした「いろは丸事件」が起きました。坂本龍馬は相手方の紀伊藩に対して、ここ鞆の浦で賠償請求を行っています。その坂本龍馬の鞆の浦での足跡を、登録有形文化財に指定されている江戸時代の蔵を使って展示されています。

幕末の「いろは丸事件」では、龍馬は鞆の浦とその後長崎で賠償交渉を行い、紀州藩を相手に多額の賠償金を勝ち取った歴史的な出来事でした。鞆の浦での交渉中、坂本龍馬が身の危険を回避するために身を隠したのが、この「枡屋清右衛門宅」の隠し部屋でした。その隠れ部屋は一般公開されているので、龍馬が息をひそめていた様子を思い起こしながら見学してみるのも歴史ロマンを感じます。

賑わった昔の街並みがそのまま残る鞆の浦

潮待ちの港として栄えた鞆の浦は、江戸時代には華々しい賑わいでした。そんな江戸時代の鞆の浦の様子を垣間見れるのが「鞆の浦の商家」です。江戸時代末期の建築である母屋は、土間に面して店の間、中の間、奥の間が一列に並ぶ古い商家の間取りで、鞆の典型的な町家です。土日祝日に限り無料で公開されている、市の重要文化財に指定された当時の暮らしを垣間見られる施設です。

鞆の浦で作られる生薬入りのお酒で名物の「保命酒」を販売する保命酒屋。かつては保命酒の造り酒屋もたくさんありましたが、今は4軒の酒蔵を残すのみ。しかし江戸時代から続く店舗で販売されている体にいいお酒は、鞆の浦のお土産としてはぜひともゲットしておきたい一品です。

車が通れないような裏路地もたくさん残っている鞆の浦。異世界に迷い込んでしまったかのようなレトロな散策が楽しめます。

車が通れないような路地にいくつも並ぶ蔵。これだけいくつもの蔵が残っている場所もなかなかありません。かつては海運の荷物を保管するために鞆の浦には多くの蔵が建ち並んだそうです。蔵の土壁を傷めないように、平瓦を取り付けた海鼠壁が多く残っています。また、廃船の舟板を土壁に貼り付けた船板壁も多く見ることが出来ます。

石畳が敷かれた常夜燈に続く道は鞆の浦の中でも最も絵になる通りのひとつ。通りに面して江戸時代から現存する建物が並んでおり、江戸時代からそこで営業している老舗もあります。散策をしているとタイムスリップしたような楽しさがあり、鞆の浦の醍醐味を感じられる場所です。

鞆の浦

場所: 広島県福山市鞆町鞆
電話: 084-928-1043(福山市経済環境局観光課)
交通: 山陽自動車道・福山東ICより約25分
   JR福山駅からバスで約30分

【投稿時最終訪問 2015年5月】

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