高原亭【焼肉店の美味しいひるぜん焼きそば】

岡山県の「蒜山高原」。一面に広がる高原の牧場で育てらているジャージー牛が有名な場所だ。以前より、濃厚なジャージー牛の牛乳を使った乳製品やスイーツ、肉などが特産品だった。しかし、最近、蒜山高原の各家庭で以前より作られていた、ジンギスカンのタレや蒜山高原のキャベツを使った焼きそばがB級グルメとして人気を得てきた。「B-1グランプリ」で2010年度2位になった実力派のB級グルメ、それが「ひるぜん焼きそば」だ。

高原の焼き肉屋で味わうひるぜん焼きそば

記念すべき「ひるぜん焼きそば」の1軒目に選んだのは「高原亭」。蒜山ICから車で5分強走った所にある。建物は比較的大きく、本業は「焼肉屋」だ。
「ひるぜん焼きそば」は蒜山のどこででも食べられるわけではない。「ひるぜん焼きそば」と銘打った焼きそばを提供していいのは「ひるぜん焼きそばすいとん会」の会員のみ。加入資格は、蒜山の住所で営業している、蒜山観光協会会員である、1年以上の焼きそば販売実績があるなど結構厳しい。B-1グランプリをとったのはこの「すいとん会」なので、本物の「ひるぜん焼きそば」を食べようと思えば、この蒜山まで足を延ばさないといけない。すいとん会は、会員以外がつくる焼きそばは「ひるぜん焼きそば」と認めていない。
2011年5月現在、「ひるぜん焼きそば」が食べられるのは10店舗のみ。焼き肉屋やレストラン、食堂、うどん屋など、本業は様々。すいとん会の会員の店には、トーテムポールのような「すいとん」という、蒜山の魔物のイラストの幟が目印として立てられている。

高原亭の店内はとても広く、こまごまとしていない。焼き肉店でありながら、宴会出来る座敷も備えている。座席はすべて半個室状態になっていて、フーブル席と座敷がある。半個室状態の座敷だと、小さな子連れでもとても安心。しかも広い。子供用の食器も用意してくれるので、子連れでも使いやすかった。
ただし、「焼き肉店」という性格上、店は全面喫煙可になっている。この時は昼の部閉店間際でまばらな観光客しかおらず、喫煙する人はいなかった。禁煙の中で食べたい方には、この先1分ほど進んだところにある、元祖ひるぜん焼きそばの味を引き継ぐ「いち福」が良い。「いち福」はランチタイムなら、同じ焼き肉屋ではあるが全面禁煙としている。

いち福【ひるぜん焼きそば元祖の味を引き継ぐお店】

高原キャベツと自慢の味噌だれが香るひるぜん焼きそば

さて、さっそくお待ちかねの「ひるぜん焼きそば」(600円)が出てきた。とてもいい香りだ。
ひるぜん焼きそばの特徴は、味噌だれと鶏肉、そして蒜山高原でとれた高原キャベツを使っている事。さて、そのお味は・・・
「美味しい～♪」の一言。これは本当に美味しい。先に言ってしまうが、今回3店舗ハシゴをしたのだが、その中で群を抜いて美味しかったのはこの高原亭だ。
使っている鶏は若鳥だろうか。柔らかくてとても噛みやすく、ジューシー。キャベツもとても甘くてシャキシャキしており、濃厚なソースの中でもその存在感が際立っている。
そして「味噌」味だが、結構「味噌味はちょっと・・・」という人も多いのではないかと思う。実際、妻も味噌味は苦手なのだが、この焼きそばはすごくおいしくておかわりしたいくらいだという。
味噌の味は確かに感じるが、味噌カツなどのように、その存在が味のメインになるのではなく、隠し味程度に身を潜めている。そして、20種類の野菜、醤油やみりんで仕上げたという、わずかにピリ辛の濃厚ソースの味に良く合い、その存在を引きたてる隠れた名脇役を演じている。
これだけでも「ひるぜん焼きそば」はとても美味しいのだが、高原亭はそのひるぜんやきそばにオリジナルを加え、さらに進化させていた。それは一言で言うと、「焼き肉屋さんが作った焼きそば」の味がする事。事実、焼き肉屋さんで焼きそばが出てくる事はあまりないが、もしあれば、こんな味がするのではないだろうかという味がする。特製ソースはそのまま焼き肉のタレに使えそうなくらいの味。そして、肉のうまみが広がった鉄板の上で、麺や野菜を焼いたような、濃厚な肉のエキス。
とにかく味が「ひるぜん焼きそば+焼き肉屋」の計算式にバッチリあてはまり、濃厚でとんでもなく美味しい一品に仕上がっている。これはビールが間違いなく進む。残念ながら車の運転があるので、ここは「ご飯」を追加注文し、その濃厚な味を存分に楽しんだ。
集客施設のレストランを外し、一般店でインターから一番近いという条件で選んだ店だったが、今回は大当たりだった。機会があればまた訪れたいお店だった。

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