岩間沈下橋と口屋内沈下橋【四万十川】
日本最後の清流と呼ばれる四万十川。日本の川の原風景が残る流れは四万十川を訪れた人を魅了してやまない。特に「沈下橋」と呼ばれる橋が多く四万十川に残っており、この沈下橋が架かる場所が四万十川の代表する風景となっている。
四万十川で人気の高い沈下橋が下流域にある「岩間沈下橋」と「口屋内沈下橋」。JR予土線の四万十川沿いの最後の駅「江川崎」から国道441号線を下り、2つの沈下橋を訪れる。
四万十川を併走するように国道441号線は河口の旧中村市まで続く。国道441号を走ると河口までにいくつかの沈下橋と出会うことができる。四万十川を有名にしているもののまさに1つが、この沈下橋のある風景だ。
四万十川の沈下橋を代表する「岩間沈下橋」
江川崎から南下すると初めて出会う沈下橋が岩間沈下橋だ。沈下橋のある四万十川の風景としてよく登場するのがこの橋。国道から看板を目印に脇道に入ると、この橋に出会う。道幅が狭く、欄干も無いこの橋を車はもちろん、徒歩や自転車で渡るのは少しスリリング。橋の上に立つと、思った以上に川面からの高さを感じる。
沈下橋の途中から見る四万十川(上流方面)。穏やかな水の流れは、その川面にもうひとつ、美しい緑の山々に囲まれた自然を作り出す。川に吸い込まれるような近さの沈下橋から見る四万十川が、一番その表情を美しく見せる。あいにくの雨だが、それでも山に雲がかかる、幻想的な四万十川の風景だった。
岩間沈下橋を渡ると、四万十川の右岸(川の流れる方向を向いて右側)にも道がある。この道は交通量は少ないものの1車線の細い道が続く。アップダウンも激しく、四万十川の眺めもそれほど良くないので、車・自転車ともにこの道を進むのはお奨めしない。川をわたったところに広い路肩があるので、ここでUターンして国道に戻ろう。
沈下橋とは、その名前のとおり、橋自体を流されないように増水時には水の中に沈むように設計されている。そのため、潜水時の水の抵抗を減らし、流木等の被害を軽減する為、欄干は作られていない。また、簡単に水の中に沈むよう、水面からの高さも普通の橋に比べると低い。
沈下橋を渡ると、欄干がなく、水面が近いので、四万十川がものすごく身近に感じる。よく、観光パンフの写真に載っているが、子供がここから川に飛び込む風景。確かに、これだけ川が近くに感じられる橋の上からは、大人の僕でも子供のように無邪気にこの川面に飛び込んでみたくなる。これが四万十川が持つ、魅力なんだろう。
アウトドアの基地になる口屋内沈下橋
次はもうひとつ下流にある沈下橋、口屋内を目指す。少し車で走ると、口屋内の集落に入る。集落の途中に右折すると口屋内の沈下橋に降りる道があるが、ここは通り過ぎて、「口屋内大橋」まで進む。「口屋内大橋」は沈下橋と違い、立派な鉄橋で、川に流されないように高い場所にかけられている。大橋へは国道から左へ脇道を入るので、注意する。口屋内大橋は1.5車線の道だが、渡りきったところに車が停められるスペースがある。ここに車を停めて橋の中ほどまで来ると、雄大な四万十川の風景、そして口屋内の沈下橋の風景を楽しめる。
口屋内大橋から見た四万十川の下流方面。とても穏やかな流れ。悠久の時を感じさせる四万十川の表情がそこにある。
口屋内大橋から見た四万十川の上流方面。右奥に見えるのが口屋内沈下橋だ。川の流れる音も聞こえないほどとても静かな場所。山間には、ただ鳥の鳴き声だけが響き渡り、雨に濡れた空気が緑の香りを運んでくる。
ここから四万十川右岸の道を北に進むと、「黒尊川」と出会う。黒尊川は、四万十川の支流でも随一の美しさを誇る川。その水は確かに透明で澄み切っていて、とても美しい。初夏にはここに蛍がいっぱい舞う。黒尊川の橋を渡り、右折すると口屋内沈下橋に到着する。沈下橋の手前の路肩に邪魔にならないように車を停める。
口屋内沈下橋。先ほどの岩間沈下橋と違い、河原が広いのが特徴だ。カヌーシーズンには、ここはカヌーイストの基地や休憩地点として賑わう。
河原にはいくつか、漁の仕掛けが沈められている。沈下橋のすぐ後ろには、民家が寄添うように川沿いに建てられている。そして向こうには漁に出るのか、小さな船の中で作業をしている人がいる。この川で暮らす人が大勢いる。それもまた、四万十川の持つ魅力なんだと感じた。
四万十川の宿泊案内
最後の清流と呼ばれる四万十川の美しい所は流域には大きな町がないこと。昔の日本を思わせる小さな集落が連続する四万十川の流域には、ロハスを意識した小規模な宿があり、ホテルは河口の中村に集中します。流域での宿泊でオススメな宿は、四万十川を見下ろすスタイリッシュなホテル「四万十星羅」や露天風呂が気持ちよいと人気の「松葉川温泉」です。