鉄拐山初日の出【神戸・六甲山系の初日の出】
神戸の北に位置し、大阪湾を見下ろす六甲山系。標高の低い西部の山々は、大阪湾から昇る初日の出を見る絶好の展望スポット。最も多くの人が訪れるのは、山陽電鉄須磨浦公園駅から元旦朝5時から運転をしているロープウェイを利用できる鉢伏山と、そこから徒歩10分ほどの旗振山。当然のことながら初日の出を見ることで大勢の人で賑わう山頂ですが、さらにそこから10~15分ほど山道を歩いた場所にある「鉄拐山」はまだ訪れる人の少ない山。真っ暗や山道を歩くことが出来る方なら、オススメの初日の出を拝める山頂です。
鉄拐山への初日の出のアクセス
六甲全山縦走路、西端から2つ目のビークである「鉄拐山」(標高237m)
源平合戦の一の谷の戦いにおいて、ここから源義経が馬で駆け下りたとされている山です。かつては頂上は木々が生い茂り展望がほとんどなく、立派な巻き道もあることから全山縦走路を行く登山者もパスすることが多い山頂でした。2017年に山頂付近の木々が一斉に伐採され、絶景ポイントになりました。
旗振山から鉄拐山まではMTBでも走れるくらいの広くなだらかな道。2箇所ほど急な階段がある事と、頂上直下の急登以外は真っ暗闇でも歩きやすい道です。とはいえ事前に下見しておくことをお勧めします。
鉄拐山の到着は午前6時を少し回ったくらいでまだ真っ暗。それでもすでに多くの人が到着しており何とか頂上最前列を確保できた状態です。鉄拐山へ向かう前に通り過ぎた旗振山ではもう人で溢れていたことを考えると、まだ人が少ない場所だと言えます。明るくなるまでは神戸の夜景が静かに煌めき、濃紺から茜色へ移り行く空のグラデーションが初日の出のプレリュードを楽しませてくれます。
始発電車+ロープウェイでは明るくなる前に鉄拐山頂上にはたどり着けません。須磨浦公園には24時間営業の有料駐車場がありますので、車でアクセスして早くに登山を開始して最前列を確保するのも良いでしょう。須磨浦公園駅から旗降山頂上までは約45分。そこから鉄拐山まで15分ほど。危険場所もなく歩きやすいですが、当然暗闇の中を歩くのでライトは必要です。
■須磨ロープウェイ乗り場近くにあるクラシックホテル
鉄拐山頂上で拝む感動の初日の出
6時半くらいから東の空が明るみ始めます。もうこの頃には頂上は満員となり、南側登山道の脇にも多くの人でごった返しています。
少しずつ南東の空が赤くなってきます。頂上は広いですが、南東に面した一角と須磨方面に下る登山道の脇には多くの人が新年初めての太陽が昇るのを寒さに震えながら待っています。海を渡る風が冷たく、動くことが出来ない状況。トイレもロープウェイが通じる鉢伏山の頂上か次のピークの高倉山にしかありませんので、防寒具はしっかりと持っていきましょう。
関西最大の海水浴場で、リゾートエリアでもある須磨海岸が眼下に見下ろせます。広いビーチにも波打ち際や突堤の上に多くの人が初日の出を拝むために並んでいるのがよくわかります。万一、登頂する時間がなかった時は、JRもしくは山陽電鉄の須磨駅から徒歩すぐの場所である須磨海岸での初日の出参拝に切り替えることもできます。
ついに初日の出を迎えました。大阪湾は陸地に囲まれているので、金剛山地や紀伊山地の上からの日の出になります。そのため神戸の初日の出は7時6分ですが、実際には山の上に頭を出したのは7時12分頃。山の上に雲がかかっているとさらに遅くなります。
生まれたての太陽が、紺碧に包まれていた海を赤く染めていきます。須磨海苔の養殖をしている一角がまるで鏡のように初日の出の茜色の光を海の上に輝かせています。
濃紺色の闇に包まれていた世界を、生まれたばかりの太陽が赤い光で照らし出していきます。初日の出の瞬間には静かな中に響く人々の歓喜の声。新しい年の時間が少しずつ流れはじめたことを感じる、今年最初の感動的な風景です。
大阪湾の上にも船が何艘も浮かんでおり、船上から初日の出を拝んでいる方もいるようです。この時間、様々な場所で昇ってくる新年初めての太陽が、それを眺める大勢の人に今年も頑張ろうという希望を抱かさせていることでしょう。
少しずつ真っ赤な太陽が登り、須磨浦を美しく照らしていきます。目の前に遮るものなく大阪湾を見下ろす絶景の初日の出。須磨浦から太陽に続くかのような真っ赤な道が海の上に現れ、赤く新年最初の朝を染めていきます。ここまで登ってきた甲斐を感じる感動の初日の出です。
鉄拐山頂上から、初日の出をカメラやスマホで撮る人々。本格的な登山装備の人から、ちょっとした散歩のような格好の方まで。真っ暗な夜とはいえ、近所の方なら気軽に登ってこれる、初日の出を見るにはもってこいの山でした。車などで乗り付けることが出来ないので、ここまで懐中電灯などで山道を照らして歩いてきた人だけが見られる最高の初日の出です。
お正月新年初下山の楽しみ
日が登るに連れて、少しずつ解散していく人々。家族での新年の挨拶や親戚宅への訪問など、新年も忙しそうです。時間があれば、ゆっくりと登っていく初日の出を心行くまでゆっくりと眺めていたいですね。
登りは真っ暗な中をヘッドライトの灯りを頼りに登ってきましたが、下りは明るくなった山の中を気持ちよく下っていきます。新年初めての朝日に照らされたウバメガシの森が美しく輝いています。登山者の多くは早朝から山に登りますが、足元からの太陽に照らされた山を歩くのはなかなかできない体験です。
旗振山まで戻ると、日の出前には多くの人がいた山頂もすでにがらんとしています。山頂から西側を望むと初日の出に照らされた明石海峡を望むことが出来ます。淡路島に架かる巨大な明石海峡大橋が朝日に照らされて一際美しく見えます。この風景はロープウェイのある鉢伏山よりも格段に良いので、ぜひ立ち止まって拝んでいきましょう。
また旗振山からはJR神戸線の塩屋駅に下ることもできます。山陽電鉄の須磨浦公園駅への下山と同じ45分程度。JRが都合が良いなら塩屋方面への下山も危険場所のない歩きやすい道なのでオススメです。塩屋に向かう途中須磨山上遊園内を通りますが、途中にトイレや自販機もあります。
鉄拐山(初日の出)
場所: 兵庫県神戸市須磨区西須磨
営業時間: 24時間(須磨浦ロープウェイは新年5:00から営業)
休業日: 無休
料金: 無料
交通: 山陽電鉄須磨浦公園駅よりロープウェイと徒歩約25分
(ロープウェイ不使用時は約1時間)
駐車場: 200台 (はじめの1時間400円、以降1時間ごと200円 最大平日のみ1200円)
【投稿時最終訪問 2023年5月】