冬のウトナイ湖
北海道の太平洋側の工業都市・苫小牧。市内を流れる勇払川の河口近くには低湿地が広がり、沼が点在しています。その中の最大規模を誇るのが「ウトナイ湖」多くの野鳥が観測できるバードウォッチングのメッカでもあります。
冬のウトナイ湖の湖畔を散策
ウトナイ湖は苫小牧市の東部に位置し、その周囲は9km、平均水深0.6mの淡水湖。付近も原野が多く、湿地の沼といった雰囲気が色濃く、多くの鳥が飛来します。日本で4番目のラムサール条約登録湿地となっています。
冬のウトナイ湖の散策は、「道の駅ウトナイ湖」を利用するのが便利。道の駅に隣接する「ウトナイ湖野生鳥獣保護センター」の横から自然観察路が続いています。
ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンターとウトナイ湖野生鳥獣保護センターを結んで湖岸沿いに1.4kmの自然観察路が続いています。さすがに冬季に装備無しで往復するのは厳しいので、少しだけ歩いてみることにしました。
湖畔にはウッドデッキの道が組まれ、東屋もあります。天候が悪くても野鳥をここから観測できます。ウトナイ湖は昭和56年には日本野鳥の会により日本初のバードサンクチュアリに指定されており、野鳥観察のメッカになっています。
ウトナイ湖は河川が流入する一部を残してほぼ全面凍結します。所々見える氷の分厚さに、北海道の冬の厳しさを感じます。
少しでも高い位置から野鳥を観測したり、多くの人が並べるように作られたのでしょうか。記念写真を撮るようなひな壇が湖畔の水際に設置されています。その他、湖岸には観察小屋があるなど、野鳥観察のための施設が多数設けられています。
凍った湖の向こうに、工場の煙突が見えます。まるで極東のロシアにいるみたいです。行ったことないですけど・・・
湖畔から離れ、「ハスカップの小径」と名付けられた原生林の中の道を行きます。冬は木々が落ちた森がどこまでも続く広がりを見せてくれます。
原野を流れるオタルマップ川
10分弱歩くと、オタルマップ川に出ます。簡単な木橋がかかっており、これを使って川を渡ります。高い山の湿原に来たようで、とても楽しい散策です。
ウトナイ湖は数多くの川を集め、付近に湿原を形成するために栄養分が豊富な池で、水鳥や渡り鳥の貴重な餌場や繁殖地になります。オタルマップ川も豊かな水を冬でも凍らずにウトナイ湖に流し続けています。
人の手がほとんど入っていない、原始のままのオタルマップ川の流れ。付近の湿原から溶け出した成分で、川の色は少し赤茶色に濁っており、それがまた自然の様相を感じさせてくれます。
ウトナイ湖畔の冬の湿原
オタルマップ川を渡った先は湿地帯になっており、足元には凍りついた水に覆われています。そんな中でも木々が根を張り、神秘的な湿原の森を作り出しています。
湿原に留まる水は、厳しい北海道の寒さに凍てつき、木々と一緒に時間をも氷の中に閉じ込めたように、付近は静寂に包まれています。
凍りつき、雪が積もって真っ白になった湿原の森の中を木道が奥まで続いていきます。
木道は雪が積もって歩きにくいですが、木道を一歩でも踏み外せば凍てついた水の中に足をちゃぽんとしてしまいます。溺れることはないにしても、ダメージはかなり喰らいます。歩きにくくても、3月になって雪解けはじめた湿原は木道を使ってしか先に進めません。
木々が少なくなり、付近が開けました。再びウトナイ湖の湖畔に近づきます。
湖畔に出ると、ここにも野鳥を観測できるデッキが組まれています。今回はここで折り返しです。
一面凍結したウトナイ湖。まだ凍てつく寒さの中には鳥の姿はありませんが、上空には新千歳空港から飛び立った飛行機でもが高度を上げながら飛んでいく姿が見えます。
雪の静かなウトナイ湖。少しだけの散策でしたが、とても原始的かつ神秘的な雰囲気を感じられました。
ウトナイ湖の観光と宿泊情報
苫小牧のオススメの宿泊は、北海道でも有数の温泉地「登別温泉」です。車で1時間強の場所にありますが、豊富な湯量とたくさんの温泉宿は旅の疲れを癒してくれる上質な滞在を楽しめます。
ウトナイ湖野生鳥獣保護センター
住所: 北海道苫小牧市字植苗156-26
電話:0144-58-2231
時間: 9:00~17:00
休み: 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合、火曜日)
年末年始(12/29~1/3)
料金: 無料交通: 新千歳空港より車で約20分
駐車場:80台(無料)