大町ダム【内部見学が楽しめるダム】

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日本を代表する山岳観光地の「立山黒部アルペンルート」大自然の中に環境を配慮しながら大規模な電源開発がなされた場所で、特に黒部ダムは観光地としても人気がある。そのすぐ近くに、あまり知られていないが、無料で内部まで見学できるダムがあるのはご存じだろうか。平日限定の見学だが、子供はもちろん、大人まで楽しめる穴場の観光スポットだ。

アルペンルート付近の穴場観光地「大町ダム」

今回紹介するのは長野県大町市にある「大町ダム」。黒部立山アルペンルートの長野県側の起点、扇沢の麓にある。

ダムの脇、管理事務所の奥側に駐車場がある。15台ほど駐車が可能で、トイレも完備。

一見普通にあるダムの管理事務所は観光施設には見えない。しかし事務所の一角には「大町ダム情報館」と大きく記されており、観光施設として一般に開放されている。

平日限定も是非見学したいダム内部

大町ダム情報館では、大町ダムについてパネルや展示でいろいろと学ぶことができる。大がかりな展示ではないがとても丁寧に作られていて、大町ダムがつくられた経緯やその役割がわかりやすく解説されている。そして目玉はダム内部の見学。情報館の中にインターホンがあり、ここから見学を申し込むことが可能。予約は不要、対応できる職員がいれば随時案内してもらる。ダムの職員同伴の案内になりなるが、比較的セキュリティレベルが高い区画も見学することが可能。普段絶対に見られない場所を、予約なし、無料で案内してくれるのはかなりポイントが高い。

ダム内部見学は、ダムの上を歩きダム中央部にある建屋を目指す。その途中からも、ダム職員による様々な解説をしてもらえる。こちらの質問にも丁寧に答えていただけ、とても親切だ。

ダム上から高瀬川下流の大町市方面を望む。緑豊かなこの町を水害から守る為に、この大町ダムは昭和60年に完成している。

ダムから見下ろすと、足がすくむような高さ。大町ダムの高さは107m。今からダム内部を進み、ダムの真下にある建屋まで進む予定だ。

堰堤上からは、ダム湖とその向こうには野口五郎岳をはじめとする北アルプスの雄大な山々を望むことができる。ダム湖は「龍神湖」という名をつけられており、湖畔には龍に乗った子供の像が。ここは誰もが「ぼうや良い子だねんねしな~♪」で有名な『まんが日本昔ばなし』のオープニングの題材、「泉の小太郎」の伝説がある地なのだ。当然、ダム湖は人造湖なので伝説の舞台そのものではないが、遠くに北アルプスの美しい山脈を望む美しい湖には伝説の龍が眠っているように思える。こういった昔話やその他ダムの施設の紹介を歩きながらダム職員の方にして頂けるのでとても楽しめる。

普段は入れないダムの秘密の内部!

ダム建屋に入り、係の方がエレベーターのセキュリティを解除すると、エレベーターが起動。ついにダムの中への探検開始!!地下へ降りるエレベーターの中には万が一の時の為にヘルメットや非常食が備えられている。そういったところも探検気分を高めてくれる。

地下深くまでエレベータは下り、停止する。開いた扉の向こうは、分厚いコンクリートに覆われた秘密の通路。ダムの内部はとてもひんやりしていて、まるで冷蔵庫の中にいるみたい。夏場は寒く感じるので上着がほしいところだ。ダムの内部は無機質なコンクリートの通路が迷路のように続いている。まるで秘密基地の中にいるようで何となくわくわく。機能性重視した武骨で無駄のない空間はある意味洗練された美しさを感じる。

コンクリートの冷たい通路を進み、地の底に向かうような長い階段を下り切った先の、鉄の扉を開ける。すると冷たい冷気を押し寄せて、暖かく有機質な香りに満ちた外気がまぶしい光とともに扉からあふれ出してくる。案内された先は、なんとダムの真下。ダムが放水した時、水か落ちてくる場所で、ここからは大町ダムを真上に見上げることがでる。その巨大な建造物の迫力にはただ驚くばかり。ダムの本体に取り付いて真上を見上げるなんてまず見れない風景で、見応え満点。

目の前にはゲートが開いたときに水が滝のように落ちてくる場所。深い緑に染まった神秘的な水がたたえられた場所は今は静かも、その時は轟音と大量の水が叩き付ける場所だ。付近にはほんのりと香る温泉の硫黄臭。ダムの職員の方がいうには、この付近から温泉が湧き出し、水の色を緑色にしているそうだ。

再びダム内に戻り、エレベータで違う階に。今度はどこまでも下っていくような階段を降りていく。

次に案内していただいたのは、ゲートの操作室。放水時に開けるダムゲートの操作室は無機質な空間に巨大な機械が配されている通常はダム事務所の管制室からゲートの開閉を操作するが、万が一電源を喪失した場合などは、巨大な機械の油圧等を直接操作してダムゲートを開閉するそうだ。まさに秘密基地の匂いがプンプンする、工場萌えな場所だ。

ゲートの制御室にはさらに階段が無造作に地下に続いている。さすがにそこは入れないと思いきや、職員の方は案内可能とおっしゃられる。秘密の場所のさらに奥には何があるのか。ドキドキしながら狭い通路を先に進む。

通路の先に出るとビックリ。そこにあるのは、なんとダムの吐き出し口のゲートそのもの!これはダムの中部に設置された2門の「コンジットゲート」のひとつ。大雨の時などはこのゲートを開き、ここからダムの水を放水するのだ。

先ほどの機械室の油圧機がうなりをあげると、このゲートがはねあがり、はるか下の水面に向かって水が吐き出される。ダム湖を堰き止めている巨大な部品がすぐ目の前に見れるのはすごいこと。これにはお父さんが一番大はしゃぎだ。ちなみにゲートが開いても水はここにはかからず、通路とゲートの間には虫が入らないようにする網戸しか張られていない。これだけ重要な場所が網戸一枚というのもなんとも興味深かった。

時間があればダム湖付近を散策

ダムの周りにも散策路や展望所があり、ダムに流れ込む沢では水遊びも可能だ。時間があれば、遠くにアルプスの山々を望みながら、神秘的な人造湖を楽しながらのハイキングもとても楽しい。ダムの核心部といえる施設をこれだけ間近に見れる機会はなかなかなく、社会見学としても一級の価値がある充実のダム見学。平日限定で、職員の都合にもよるのだが、平日にこの付近に訪れたのならば、必見の内容だ。

大町の観光と宿泊情報

立山黒部アルペンルートの長野県側の入口、大町には「大町温泉郷」があります。高瀬川沿いに多数の旅館が建ち並ぶ温泉街で、比較的新しく開発されたため、各ホテルは広大な敷地を所有して整然と立ち並んでいます。アルペンルートの観光には勿論、安曇野や松本への観光拠点としてももってこいの宿泊地です。

【大町ダム】
場所:長野県大町市平字ナロヲ大クボ2112-71
電話:0261-22-4511
交通:長野自動車道・豊科ICより車で約40分
入場料:無料
駐車場:15台(無料)
見学時間:ダム情報館 8:30~17:30(年中無休)
     ダム内見学 9:00~11:30/13:00~16:30(火~金曜 祝日のぞく)

【投稿時最終訪問 2015年8月】

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