海上自衛隊艦艇見学【舞鶴地方隊北吸桟橋】

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日本海側唯一の海上自衛隊の基地である舞鶴基地。その中の施設のひとつであり、艦隊が停泊する「北吸岸壁」。迫力満点の護衛艦を間近に見ることができる自衛隊基地は舞鶴の旧海軍を思わせる観光スポット。国道27号線を走ればその巨大な船体を間近に眺めることができます。そして週末祝日は北吸桟橋施設内は見学することができ、間近に護衛艦を眺めることができます。さらには護衛艦に乗船するイベントが年数回行われ、その日は普段は見ることも触れることもできない自衛隊の様々なものを見ることができます。

自衛隊艦船を間近で見られる北吸桟橋

自衛隊艦船を見学できるのは、舞鶴市にある海上自衛隊北吸係留所。週末と祝日は一般公開されており、年に数回、自衛隊艦船に入ることができるイベントも行われています。一般公開日やイベントはは海上自衛隊舞鶴地方隊のホームページで確認ができます。
この日は護衛艦ひゅうがに乗艦できるイベントが行われていたので見学に訪れました。正面ゲートでセキュリティチェックを受けて、桟橋内に入ります。

この日の乗艦見学ができるのは「護衛艦ひゅうが」です。全長197m、全幅33m、高さ48mの巨大な船体で乗員は360人。この巨体でも30ノット(時速55km)の速力を誇ります。舞鶴基地を母港とする第3護衛隊の旗艦です。
海上自衛隊初の全通甲板を有するヘリコプター搭載護衛艦として2009年3月に就役しました。この「ひゅうが」は2代目になり、初代の「日向」は太平洋戦争時に呉で爆撃を受けて大破したそうです。

係留用の係柱も装甲に護られた艦内に格納されています。艦尾にはミサイル防衛兵器のファランクスが装備されています。

後ろに係留されているのは「護衛艦みょうこう」。同じ護衛艦のひゅうがとは違い、ヘリコプターの発着はできないも単装速射砲を装備するなど武装は充実しているように見えます。

普通の船とは違い、分厚い装甲になっているのがよくわかります。ここからついに、ひゅうがの中に乗艦します。

護衛艦の格納庫とエレベーター

艦内に入ると格納庫。通常はここに艦載ヘリコプターが格納されているとても広いスペースです。

艦内公開時は、災害救助対応の取り組みについて展示されていました。まるで野戦病院のようですが、アウトドア用品を活用した設備はキャンプ好きにはなるほどと唸るものがあります。また、トリアージされたエリア分けや手術台まであるなど、有事の際は負傷した隊員だけでなく、災害被害者の救命にも本気で取り組んでくれることを感じて、心強く思いました。

艦内に2基ある航空機用昇降機があります。空母ではないので戦闘機の搭載はできませんが、ヘリコプターは最大11機搭載が可能。また、最大48名が搭乗可能な大型ヘリコプターMH-53Eも運用することが可能となっています。

エレベーター稼働前には警告音が鳴り響きます。まさに映画の世界。ゆっくりと天井から光が漏れ、天井そのものが降りてきます。

大型ヘリコプターを甲板にせり上げるエレベーターに乗ります。一度に大勢の人を乗せてゆっくりと上昇します。重厚な艦内をエレベーターに乗せられて移動していくのは、もう映画の世界に入り込んだかのような体験で、とてもワクワクします。

ゆっくりと甲板にせり上がります。もう映画の出撃シーンです。エレベーター内の壁にも様々な機械部品やケーブルがあり、見ていてとても楽しいです。

甲板の上にはズラリと装備された近代兵器

甲板の上はとても広く、後部にはパープーンミサイルやアスロックミサイルを搭載した垂直発射装置があります。艦載機を発艦させての戦闘だけでなく、ひゅうが自身も強力な潜水艦、航空機への強力な戦闘能力を備えています。

甲板の上には、まるでスターウォーズのR2-D2のような巨大な機関銃が。トマホークなどのミサイル攻撃が主な近代の艦隊戦で、高速飛来するミサイルを着弾前に撃墜する防御兵器の高性能20m機関砲(CIWS)です。

ファランクスと称されるこの兵器は飛行甲板前端と、船体後部左舷側に2基設けられています。自艦に向けて迫りくるミサイルをセンサーやレーダーなどを駆使して全自動で迎撃するそうです。毎分4000発を越える発射速度で弾幕を張り、ミサイルを打ち落とします。アニメや映画でそのシーンを見ましたが、実物を目の前にすると大迫力です。

艦橋にはFC-3多目的レーダーが装備されています。広範囲にわたって精密な敵策や目標追尾を自動的に行える装置で近代兵器の最も重要な装備といえます。環境に張り付いた板がアンテナ部分となっており、よく見ればどの艦にも同じように装備されています。

艦橋下部には艦内へのハッチがあります。普通の船舶のドアに比べてとても頑丈で気密性が凄そうです。

艦橋を見上げるとラッパを持った自衛官が出てきました。おお、これはビューグル(信号ラッパ)の生演奏が聞けると楽しみに身構えますが、吉本新喜劇ならずっこけるくらいにヘタ。ギャラリーが苦笑いや温かい笑いをこぼしています。アナウンスによると、ただいま頑張って練習中とのことです。

甲板後部には垂直発射装置(Mk41 VLS)があります。セル上に配された16基のミサイル格納庫となっており、ここから1つずつ蓋がオープンしてミサイルが垂直発射されます。ひゅうがには4セルに防空用の艦対空ミサイル(シースパロー)、残りの12セルには対潜水艦用ミサイル(アスロック)が収容されいるそうです。
後ろは並んで停泊する護衛艦みょうこう。艦橋前部にファランクスが装備されています。こうやって見ると艦載武装のオンパレードです。

甲板には機銃台座も備え付けられています。中央の竪穴部分に機銃をセットし、その前面をシールドとして鉄板が覆う構造です。機銃の威力と射程距離では戦闘では使い物にならないはずですが、海賊などの不審船への威嚇攻撃や水雷除去に使うのかもしれません。

ひゅうがの甲板でその魅力を存分に楽しんだら、再び艦載機用エレベーターで館内に戻ります。足元が開いて艦内にゆっくりと降りていくシーンはまた映画の世界そのもの。

分厚い甲板を抜けると広い格納庫に降りてきます。広くも薄暗い格納庫と、明るく頭上に広がる空の組み合わせは、滅多に見ることのできないスーパアングルです。
続いて埠頭に展示されている自衛隊の特殊車輌や災害支援の装備に向かいます。

自衛隊車輌に触れられる魅力的な展示

軽装甲機動車が展示されています。悪路の走行性能はもちろん弾丸なども防げる防弾性能も高そうです。

ベース車両はトヨタ製のようです。無骨でシンプルな造りですが、ミッションはきちんとオートマチックになっています。一度運転してみたい・・・

内部は思った以上に広くなっています。後部ハッチからスムーズに乗り降りできるよう座席も横向きに設置されています。

発煙弾の発射機が車体後部に装備されています。固定武装はありませんが、強固な装甲と防弾ガラスなどで護られており、多少の銃撃ならびくともしないそうです。

装輪装甲車。自衛隊員が不動の態勢で警備しています。車両が武装されているのかもしれません。

隊員の食事をつくる調理用の専用車両も展示されています。炊飯・汁物・煮物・揚げ物・焼き物・炒め物・蒸し物が可能という多機能さには驚かされます。最大200人分の主食・副食などの同時調理ができ、11.5kgの米を約25分で炊飯できます。35リットルの水は約30分で沸騰する能力があります。

災害救助で頼もしく感じる自衛隊装備

緊急展開型入浴セットが展示されています。東日本大震災の時、避難生活を送る方が声を揃えて喜んだ自衛隊の装備です。実際にお湯を張ってどのようなものか見せてくれています。

浴槽にシャワー。見た目は質素ですが、機能はとても充実。災害時に温かい湯船に入れ、汗も流せるこのお風呂は本当にこれは助かります。また、除染作業などで着用した防護服を脱ぐスペースもあり、びっくりするくらい機能的な設備でした。

停泊中の艦隊を間近から見学

艦船が3隻横並びになって停泊しています。左から「護衛艦まつゆき」、「護衛艦あさぎり」、「練習艦せとゆき」です。ずらりと並ぶと圧巻の光景です。

単装速射砲の後ろには艦対空ミサイルのシースパローミサイルが装備されています。3つの艦橋がずらりと並び、その上にはファランクス。こんなに近くで近代兵器を見ることはまずありません。さすがに自衛隊基地です。

現在の砲塔は、太平洋戦争時の戦艦大和のような大きなものではなく、砲身も砲台も一つです。近代戦の長距離攻撃は砲撃ではなくミサイルとなっており、砲撃は攻撃よりも接近する敵の防御に使用されているようです。そのため砲塔の稼働スピードは相当に早く、コンピューターに制御された正確な射撃で連射ができるそうです。
訓練かメンテナンスのためか、速射砲が稼働しています。護衛艦の砲塔が動いているところを間近で見られるのはなかなかない経験です。しかもその旋回スピードはびっくりするくらいに速いのです。中に人が入っていたら、絶叫マシンも驚きの恐怖で目をぐるぐる回しそうです。実際にはこの中には人は入らず、戦闘指揮所(CIC)から操作されているはずでしょう。

甲板上の筒はおそらく潜水艦攻撃用のパープンミサイルだと思います。

埠頭には、停泊している船の名前が記されています。自衛艦の名前がすぐにわかります。

基地内のコンビニでお土産も買える

北吸桟橋内にはコンビニがあります。自衛隊音楽隊の歌姫、三宅由佳莉さんのポスターが貼っていていかにも自衛隊基地内の施設です。

勤務する自衛官向けのコンビニですが、見学客も買い物をすることが可能です。飲み物やおやつはもちろん、見学客向け用に用意されているオリジナルグッズはお土産にはもってこいです。

自衛官用の制式な作業帽、ジャンパーなども販売されています。ただしこれらは身分証で自衛官と確認された方のみに販売しています。気を付ければ試着してもいいと書かれているのはうれしいですね。自衛隊基地見学ならではの楽しみです。
また北吸桟橋付近には自衛隊艦船と赤レンガ倉庫を一緒に眺められる「舞鶴赤レンガパーク」や海上自衛隊の施設で週末に見学可能な「海軍記念館」「東郷亭」もあります。あわせて訪問して、海上自衛隊や海軍の町舞鶴について、いろいろと感じたいですね。

舞鶴地方隊北吸桟橋

場所: 京都府舞鶴市余部下1190
電話: 0773-62-2250
時間: 10:00~15:00
見学可能日: 土・日・祝日(見学不可日・期間もあり)
入場料: 無料
交通: 舞鶴若狭自動車道 舞鶴東ICより20分
駐車場: 600台(無料・赤レンガパーク駐車場を利用)

【投稿時最終訪問2015年6月】

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